第1回 不思議な現象

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第1回 不思議な現象

ドレスト光子(DP)が関わる不思議な現象が数多く観測されている。ここで「不思議」とは、従来の光を使うと、または従来の光の常識から考えると理解しにくいということを意味している。次の簡単な質問を提示しよう。光の性質を思い出しつつ不思議さを実感して頂きたい。

[質問1]
ガラスファイバの先端をナノ寸法まで尖らせ、側面に不透明膜を塗布する。その結果、図1.1に示すように、先端部のみに透明なガラスが露出し、ナノ寸法の開口が形成される。このような開口付きの先鋭化ガラスファイバはファイバプローブと呼ばれている。図1.2に示すようにこの後端から光を入れると、先端の尖ったところに光は発生するだろうか?

図1.1    図1.2

図1.1 ファイバプローブ        図1.2 後端から光入射

[解答1]「否」である。
なぜなら、開口の寸法は可視光の波長よりずっと小さいので、このファイバプローブは可視光に対して遮断導波路になっている。従って光がファイバプローブ中を進む際、直径が波長以下になると、光はそこで反射されるか、不透明膜に吸収される。従って開口に到達せず、その結果、先端の尖ったところには光は発生しない。

[質問2]
物質中の電子の二つのエネルギー準位を考える。その準位の電子の波動関数は互いに同じ偶奇性(parity)を持っているとする。この場合、この物質に光をあてたとき両エネルギー準位での遷移は起こるだろうか?

[解答2]「否」である。
なぜなら、同じ偶奇性を持つ準位間は電気双極子禁制遷移だからである。

[質問3]
シリコン結晶を用いて発光ダイオードやレーザーを作ることができるであろうか?

[解答3]「否」である。
なぜなら、シリコンは間接遷移型半導体だからである。自然放出により半導体から光を発生させるには電子を伝導帯から価電子帯へと帯間遷移させる必要がある。しかし間接遷移型半導体の場合、波数ベクトル(運動量)の関数として価電子帯、伝度帯のエネルギーを表したとき、図1.3に示すように両者の曲線の頂点、底における波数ベクトルの値は互いに異なる。従って帯間遷移のためには運動量の異なる電子と正孔とが再結合しなければならない。その際、運動量の保存則を満たす為には光子の他に運動量をもつフォノンをも同時に放出する必要がある。すなわち間接遷移型半導体では光・電子相互作用および電子・フォノン相互作用を通じて帯間遷移するので、その遷移確率は低い。従って間接遷移型半導体では自然放出の確率が小さく、発光効率が非常に低い。

図1.3

図1.3 波数とエネルギーの関係

[質問4]
真空容器内に分子の気体を容器に封入する。なお、この分子は紫外線を吸収して解離する性質をもつ。 この分子に対し可視光を照射する。このとき分子は解離するであろうか?

[解答4]「否」である。
なぜなら、可視光の光子エネルギーは紫外線のそれにくらべて低いので分子に吸収されないからである。

 以上の質問に対する解答はすべて「否」であるが、これは従来の光の性質に基づく常識である。科学技術上の真実といってよい。しかし、新しい光を用いればこの解答は「可」になりうる。実際にこれまでの研究により「可」であることが実証されている。そのような新しい光こそがドレスト光子(DP)である。上記の三つの質問はドレスト光子(DP)が関わる不思議な現象の例である。
ではDPとはどんな光?、その性質は?、DPを用いるとなぜ解答が「可」になる?、その結果もたらされた技術の革新的変革は?などについて次回以降で順次説明していこう。